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第16回読書カフェ「シーボルトと京都大学の分類学者たち~分類学って何だ~」

写真 シーボルトと分類学研究
―京大生協BOOK COLLECTION―

 昨年来、京大生協教職員委員会とショップルネとの提携による読書推進企画がひろがりをみせています。

 2月9日から3月13日のほぼ1ヶ月間、京大生協ルネのイベントコーナーにおいて、「シーボルトと分類学研究」と題した分類学研究関係のさまざまな書籍が展示・販売されました。
トークイベント~読書カフェに70人

写真  2月24日(火)午後6時30分から、同じ京大ルネのイベントコーナーにおいて、「シ―ボルトと京都大学の分類学者たち~分類学って何だ~」と題して、第16回読書カフェ(京滋・奈良ブロック協賛)が開催され、約70名の参加がありました。

  今山教職員委員長の司会ではじまった読書カフェで冒頭、本川雅治先生はシーボルトの日本動物誌について概要を解説していただいたあと、哺乳類を中心に、日本からジャワ経由でヨーロッパに持ち込まれた標本をライデン博物館長であったヘミングがまとめたこと、今後の課題として京都大学博物館など日本の標本を活用すること、アジアの博物館と連携して若い人たちが分類学を発展させていってほしいと述べられました。

 永益英敏先生は日本植物誌に関わってシーボルトの経歴を紹介されるとともに、シーボルトとならんで長崎の「出島の三学者」といわれるドイツ人博物学者ケンペルの「廻国奇観」、スウエーデン人植物学者チュンベリーの「日本植物誌」を紹介されました。

 爬虫類分類を研究されている疋田努先生からは、当時の日本では爬虫類などの動物は「薬種」の原材料であったこと、明の時代に編纂された「本草綱目」という図鑑によって学ばれていたが、江戸中期の小野蘭山によって日本の薬学が大きく発展させられ、それをシーボルトが高く評価していたこと、オランダ商館長のブロンホフが日本の資料収集にかかわっていたことなどのお話がありました。
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 両性類を専門にされている松井正文先生は、オランダ・ライデン博物館に行かれた際、標本がかなり良好な状態で保存されていることを確認されたこと、系統分類学の立場から、ただ分け隔てるだけの分類学でなくDNA分析をとおして親子関係、遺伝の要素を重視する手法が主流になってきていること、カエルやサンショウウオを例示しながら染色体分析を通してあらたな発見があることを述べられました。松井先生は最後に、分類学の未来に関して決して古臭い分野でなく、生物多様性の時代が叫ばれているなかで、種のレベルまで解明する分類学の確立に向けて若い分類学者を育てる使命を熱く語られました。

後半ではそれぞれ先生からお薦め本についてコメントをいただきました。

 本川先生からは、分類学に興味のあるひとにまず読んでもらいたい本であり、「分類学は古くさい」との意見を意識して書かれた、「動物分類学の論理~多様性を認識する方法」(馬渡俊輔著 東大出版会)、 2冊目はご自身による著書で、生態学や分類学などの分野にかかわらず動物を研究するにはまず動物に直接接して考えてもらうことが重要であるとした「日本の哺乳類学 ①小型哺乳類」(本川雅治著 東大出版会)、もう1冊は、京大博物館の標本を紹介する「標本の本」を推薦されました。

 疋田先生は、学生に紹介したい本というよりは自分が読んで面白かった本ということで、まず、分類学者とふつうの人間の感覚が同じではない、ということを分析した「自然を名づける~なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか」(キャロル・キサク・ヨーン著 NTT出版)、もうひとつは、動物学教室の先輩であり奈良女子大でゾウリムシを研究されていた高木先生の「寿命論~細胞から生命を考える」(高木由臣著 NHKブックス)で、ゾウリムシは何回か分裂した後に死ぬという特異な現象に面白さを見出されたとのことです。

 松井先生は、お薦め本については『最近は本を買わない(置く場所がない)ので、お薦めできない』と謙遜しておられましたが、若い人たちが分類学を学ぶにあたって、『生協でたくさん本を買い、読んだことを紙に手で書いて勉強してほしい』と述べられました。(京滋・奈良ブロック事務局・芝田)
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