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「ひと・動物関係から現代社会を考える」を開催

写真  5月22日(金)午後6時から、京都大学生協ルネ・イベントスペースにおいて京都大学生協教職員委員会主催(京滋・奈良ブロック協賛)の読書カフェ「ひと・動物関係から現代社会を考える」が開催され、学生、教職員、市民など約80人の参加がありました。

 登壇者のひとり、3月末で京大名誉教授となられた菅原和孝先生は、アフリカ南部の「ブッシュマン」研究をふまえて『狩り狩られる経験の現象学』を出版されましたが、定年を迎えてあらためて幼少時の動物学との出会い、京大霊長類研究所で出会ったブッシュマン研究のパイオニアである田中二郎先生との出会い、その後のブッシュマン研究を通じての人と動物との関係事例について話されました。

 もう一人の登壇者である京大文学研究科で科学哲学、倫理学を研究されている伊勢田哲治先生は、「動物の解放」を書いたピーター・シンガーの主張を例にあげつつ、動物倫理学の立場から「ひとに危害を加えてはならない」というルールを動物に当てはめたらどうなるか、人間の「種」は尊重される一歩で、動物の「種」は差別されていると述べられました。

 司会役の京都文教大学の佐藤知久先生は、「工場畜産」ともいわれる、極度に管理された「効率」的な動物への扱いや、「虐待」につながりかねない動物実験の事例をひきつつ、原子力・エネルギー問題と人間の関係は、動物と人間の関係とパラレルではないかとの認識を示されました。
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 議論の視点として、動物愛護・福祉の立場とも異なって、功利主義=『みんなが幸せになるのが一番の基本』の考えを動物にも当てはめ、これまでの動物の扱い方をすべて否定し、苦痛を与えているかもしれない動物をあえて食べる必要を否定する、ひとも動物も区別することなく「筋を通す」という立場が提起されました。それに対し動物実験によってひとが現代医学の恩恵を受けているという事実、狩りをするブッシュマンが「殺すか殺されるか」という緊張感の中でようやく獲物にありつけるという現実、蚊とチンパンジーの苦痛を同質には捉えられない、といった論点が出されました。

 簡単に結論が出せるようなテーマではありませんが、議論を通して違う視点から見た、ひとと動物の関係の複雑な現状をふまえつつ、課題を問い直す機会となったのではないでしょうか。
(ブロック事務局 芝田)