組合員を取り巻く社会の変化(2019版)

1.大学生協と協同組合に関すること

  • 社会では協同組合の価値が再認識されています。国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成するために、協同組合の価値やこれまでの営みが評価され、達成に向けたステークホルダーとされています。
  • 協同組合の新たな連携組織として、「日本協同組合連携機構(JCA)」が2018年4月に発足しました。関西北陸地域の大学生協でも、協同組合間の連携を進めるきっかけとなり、大学生協と他の協同組合の関わりも増えています。
  • 大学の在学者数は、昨年度に引き続き増加し、大学全体では290万9千人(前年度+1万8千人)となっています。一方で大学改革への動きも見られ、国立大学への運営費交付金や、私立大学への補助金は減少傾向にあります。
  • 大学と大学生協の関係性は複雑になっています。関西北陸地域でも、大学からの要請を受けたコンビニチェーンとの連携や、競合する大学子会社の事業拡大、施設使用料をめぐる問題など、多くの課題が存在してます。
  • 大学を取り巻く環境が厳しくなる中で、福利厚生充実のために生協設立を検討している大学が、小規模大学を中心に関西北陸地域でも増えています。近隣の大学生協や連帯組織による支援が重要となります。

2.組合員の健康と安全に関すること

  • 食生活の意識は徐々に高まりつつあります。朝食を食べる学生は70.9%(自宅生は79.5%、下宿生は58.8%)と全国平均より高い結果となりました。一方で下宿生の食生活は摂取率・内容ともに不十分である傾向が続いています。
  • 病気・事故、こころの病や消費者トラブルなど、組合員を取り巻くリスクは多様化しています。病気・事故ともに共済金の支払件数は前年比増加しており、急性アルコール中毒や、精神障害による給付件数も増加傾向が見られます。

3.学生組合員を中心とした大学での学びと進路に関すること

  • 文部科学省の調査によると、2018年度の大学・短期大学進学率は、57.9%と過去最高を更新しました。大学の在学者数は増加傾向ですが、短大や高専への進学者数は減少傾向が続いています。多くの若者が大学に行く時代になり、将来の職業選択を見据えた、実学系の大学への人気が続いており、学部が新設された大学もあります。
  • 1日の読書時間は、平均22.2分と減少傾向が続いています。また、1日の読書時間が0分の割合は、55.7%(※全国は53.1%)となっており、関西北陸地域は全国平均よりも読書習慣が薄いことがうかがえます。
  • 就職活動への不安を感じる学生は73.5%となっており、その中でも特に「就職できるか(内定がもらえるか)」という不安が大きいです。2018年春の大卒就職率は98.0%と、景気回復による効果が見られますが、経団連が2020年卒業生から就職活動にかかわるルールを廃止すると決定しました。今後の動向を注目し、取組みを進めていく必要があります。

4.大学生協を取り巻く社会情勢に関すること

  • 若年層を取り巻く経済状況の課題として、相対的貧困の問題や奨学金制度に関する課題があります。関西北陸地域でも、32.7%の学生が奨学金を受給しています。奨学金の利用や返済に関しての情報提供が課題となりそうです。
  • 成年年齢の18歳への引き下げを定めた改正民法が公布され、2022年4月1日に施行される予定です。
  • 関西北陸地域では、豪雨災害や地震の発生などさまざまな自然災害が相次いでおり、災害への備えが必要です。
  • 核兵器禁止条約やICANのノーベル平和賞受賞など、核兵器廃絶に向けて世界では積極的な動きが見られます。
  • マイクロプラスチックの問題を受けて、プラ製ストローやレジ袋の提供を中止するなど、環境に配慮した動きが見られます。
  • 2020年東京オリンピック2025年大阪万博を控えて、関西北陸地域のさらなるグローバル化が予想されています。

※情報の出典先:第53回学生生活実態調査(関西北陸ブロック版)・全国大学生協連第62回総会 第1号議案